おうちのはなし
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発行人:一般社団法人
住まい文化研究会
株式会社藤代工務店
おうちの話をしませんか?
住まいに関わるアレコレ
テレビを
住む場所を持たない人はいません。そして全く同じ家もありません。たとえ同じ間取りでも、住まい手が変わり、調度品が変われば違う暮らしがあります。住む理由、今困っていること、技術的な疑問、お金のことなどそれぞれに違う住まいに関わる情報の、最初の簡単な勉強に使っていただけたらと思います。
生活を満足させる「衣食住」
令和5年(2023)年末の内閣府の国民生活に関する世論調査によると、49%の人が「現在の生活に満足している」と答えています。
「満足」は7.2%、「まあ満足」は41.8%で、実はコロナ禍や物価上昇を受けて、10年前の同調査よリモ大きく低下し半数を切る自体になりました。10年前はなんと71%だったんです。収入や貯蓄、食生活や自己啓発、住生活などの細かい項目もあります。その中で、住生活は満足度が高く、6割以上の方が満足していると答えています。
国民生活に関する世論調査
住生活は食生活に次いで2番目の高さとなっていますが、これも10年前には8割を超えていました。日本の住宅は、年間に80万戸の新築が建ち、6兆円規模の住宅リフォーム工事があります。それでも国際的な比較を見ると新築は多いのですが、住宅不動産の流通やリフォームの市場は、先進諸国の中でも圧倒的に少ないのが日本の現状です。
とりあえず、日本は衣食住に満ち足りた国であることに間違いはありません。確かに「衣」はファッションと呼ぶと、日本は世界をリードする立場にあります、一方で、世界のファッションブランドが日本の市場で競い合っています。
「食」もグルメと呼ぶと、同じように世界をリードする立場にあります。和食が世界文化遺産になったことに始まり、寿司はヘルシーフードとして世界中に広まりつつあります。さらに日本人の舌によって鍛えられたラーメンやカレーは本場以上の注目を受けていますよね。
では「住」はどうでしょうか?歴史の中では、日本の住宅建築の素晴らしさは世界で多くの人が認めていました。日本の帝国ホテルを設計したフランク・L・ライトは、桂離宮に感銘して新しいアメリカの建築様式を作ったと言われています。世界最大の消費財メーカーであるP&Gの創業者ギャンブル氏が建てて暮らしたパサデナの自邸は日本建築を模したものであり、今では、アメリカの建築文化財として保護されています。
そして大富豪であるロックフェラー氏の自邸の一つは、日本から建材を運び、日本の職人が作り上げた数奇屋造りの家です。世界中の家で歓待を受けたであろう富豪が選んだのは、日本の数奇屋造りだったのです。
でも、ファッションやグルメほど、私たち日本人が「住」をリードしているようには思えません。逆に世界が認める日本の住まい文化を、失いつつあるようにも思えます。もっと住まいに関わる話に興味を持っていただければと思います。
住まいのデザイン
住まいのテクノロジー
今の住生活に満足していても、さらに住まいへのデザインを求めれば、住まい方も変わります。
それは今の家をリフォームしようか、とか、新しい家を求めるときの動機にも通じています。例えば日本を訪れる外国人観光客は、日本の風情を求めて旅館や古民家に泊まりたいと望みます。そして靴を脱ぐ暮らし方を快適に感じ、布団ベッドで休み、帯や着物をインテリアに取り込んで飾り付けています。彼らと同じようにもっとインテリアを楽しんでみてはどうでしょうか。和のデザインは伝統的な和室でなくてもいいのです。多くの日本的なデザインは、モダンデザインとして受け止められています。
欧米の広葉樹に塗料を塗ったクラシックな雰囲気を好む人もありますが、近年のサスティナブル・デザインを受け止めるのはオーガニックな家です。木肌を楽しみ、木の匂いがする家はなぜか心が休まります。
生活をデザインする中心には、リビングがあります。リビングの使い方をもう一度考えてみると暮らし方も変わります。実際はダイニングに家族が集まり、ソファを背もたれにして床に座って暮らしている人も多くいます。
また、ペットを飼うことや、観葉植物を育てること。音響機器で音をインテリアにしたり、照明を凝らしたり、そんな生活感にも無垢の木を活かした造りを考えても、日本のデザインが生活に通用しないはずもありません。
さまざまな生活のあらゆる切り口に、女性の意見が必要とされていることも見逃せません。ファッションやグルメだって、女性が勉強しようと集まるところにトレンドがあります。
いわば「女子力」が発揮されるところに市場が生まれているということです。その意味では、ファッションやグルメほどには、住まいのデザインにまだまだ女子力が足りていないのかもしれません。
住まいに関わる話には、それ以外に技術的な要件もたくさんあります。特に新築を検討する時に、真っ先に挙げられるのは性能の話です。
広告で宣伝されると、まるでその企業が圧倒的に差をつけて技術開発しているかのように感じてしまいます。でも、多くの部品をアッセンブルして出来上がる住宅では、すべての部品を自社で作っている企業はありません。冷静に分析して、ポイントさえつかめれば難しいことはありません。
例えば住宅の強度の話。耐震性の仕組みや評価法を知って、家族の命を守ります。単純に強度が計算された耐力壁が、バランスよく足りていれば良いことです。また、地盤のことも知っておく必要があります。
実は意外なほど木材は強く、火災に対しても鉄骨に負けない材料であることを知ると安心することでしょう。
そして地球環境時代にエネルギーのことを考えないわけにはいきません。義務化を控えている省エネ基準もありますが、住宅性能以上に省エネを支える省エネ機器を上手に利用することが大切です。
結論は、国が基準を定めているので、冷静に判断すればできないことではありません。また、住宅の工業化と聞くと、大企業しかできないように思えてしまいますが、お風呂のユニット化された製品が一般的であり、木造の構造材も90%以上が工場生産されています。今では木造住宅も工業化住宅なんです。難しそうに感じるテクノロジーの話にも目から鱗の話があります。
お金の話
リフォームの話
新築にしてリフォームにしても、家のことを扱うとなると、先立つものが必要になります。住まいに関わるお金の話はもっとも大事な要件です。
人生で最大の買い物と言われるだけになかなか経験を活かすこともできませんし、費用も高額です。まず最初に戸惑うのはどれだけ総額がかかるかということです。
坪単価を聞いても、それがすべてではありません。建物の工事にかかる費用だけでなく税金や保険、各種申請費、引越し費用など別途にかかる費用もあります。さらに消費税がかかる費用とかからない費用も混在しています。これからもしっかり勉強しておいた方が良いでしょう。
また、住宅は高額なだけに、住宅ローンを組むことがほとんどです。住まいの金融についても知っておいた方が絶対的に得です。物価上昇の局面となれば、金利も激しく動き始めています。住宅のお金の話にはどうしても時事のニュースに関わってきます。
その他にも、もっと根源的な住まいの話もあります。借りて住んだ方が得なのか、マンションと比較したらどうなのか、など。また土地選びから住まいづくりを進めるのであれば、土地の選び方にも押さえておきたいポイントがあります。
例え新築を検討するのであっても、建てた後のメンテナンスやリフォームを考えておくことは大切です。
不便を感じて堪えきれなくなってきてから手を加えるのではなく、生活をデザインするためにリフォームするのであれば気持ちも前向きになれます。
しかもリフォームは、決してきぼを問うこともありません。衣替えをするくらいの感覚で、小さな変更を重ねていくのも上手な手法の一つです。
ファッションやグルメと同じように住まい文化を楽しむために進める、リフォームを考えてみてはいかがでしょうか。
かかりつけ住宅医
経営の神様と言われた松下幸之助は、「住宅は住む人の人格を表現するもの」と言いって、光雲荘を建築しました。確かに生涯を共にする住まいは、自分自身でもあります。自分の体の健康を維持するために医療界ではかかりつけの医師があることを推進しています。このかかりつけ医としてのあるべき条件を、新聞社の調査では次のような順で上げられています。
・近いこと
・説明が丁寧であること
・どんな相談もできること
・腕がいいこと
近くにいてくれ、新築でも簡単なリフォームでも話をしやすいのは、地元の住宅建設企業です。その多くは、腕のいい職人を抱えていることが自慢でもあります。注文住宅に限れば8割以上の住宅が地元に根ざし
た企業によって建てられています。
ただ、腕は自慢でも、説明を不得手とする企業があるかもしれません。その点を考えると、かかりつけの住宅医として選ぶのであれば、条件の2番目「説明が丁寧であること」がポイントになります。
住まいに関わる話は、これまでの通りたくさんの情報があります。もちろん新築でもリフォームでも一緒です。色々と丁寧に説明してくれる住宅企業は、きっとあなたのかかりつけの住宅医として、永い付き合いのできる企業になってくれるでしょう。
おうちの家計簿
住宅ローンの金利について
これまで主流だった変動金利型住宅ローンの金利がじわじわと上昇しています。それに対して固定金利型住宅ローン「フラット35」の金利は最近落ち着いており10月は9月と同じ1.82%です。この金利だけ見ると変動金利型住宅の方がまだ有利かもと思われるかもしれませんが、フラット35には金利引き下げという制度があります。
代表的なフラット35以外でも、最長50年借入可能なフラット50、20年という短期借入むけのフラット20もすべて金利引き下げの対象になります。ただし利用できるのは18歳未満のお子さんが居る子育て世帯か夫婦どちらかが40歳未満の若年世帯に限られます。
金利引き下げの仕組みは、ポイント制で建てる建物がZEHなどの高性能住宅の場合は3ポイント、長期優良住宅なら1ポイントの計4ポイント。そこに子供一人に月1ポイントが加算されます。子供が2人いる場合は合計6ポイントになるということです。
6ポイントの 金利引き下げの場合 | フラット35 | フラット50 (子育て世帯の利用が多い/親子リレー返済の利用が多い) | フラット20 (50〜60歳の利用が多い/経営者、自営業の利用が多い/風紋住宅、新築マンション購入での利用が多い) |
当初5年 | 0.82 | 0.92 | 0.43 |
6〜10年目 | 1.32 | 1.42 | 0.93 |
11年目以降 | 1.82 | 1.92 | 1.43 |
フラット35の基準金利が1.82%の場合、当初5年間は1%金利が下がり0.82%。6年目からは1.32%、11年目からは基準金利の1.82%になります。変動金利の住宅ローンでは一部の地域で1%を超える金利のところも出ていますので、当初支払い額を押さえてたい方にはいいかもしれません。
実はこのフラット35が住信SBIネット銀行とタイアップしてパッケージローン「ゴーゴー」という新しいミックスローンについては次号で詳しくお知らせさせていただきますね!